日米関係 岡目八目  ⚔

        

ネット上で見る若い年代の感覚と、私の戦中派年代の考え方の違いを述べてみます。

 私の感覚で見る日本の立場は、戦争で負けて米軍に占領され、マッカーサー元帥の占領軍統合参謀本部(いわゆるGHQ)が日本の全てを支配し、憲法から国内法まで作り直し、アメリカ流の教育で日本国民を育て、それまでの体制(明治以来の天皇制国家)を作り変え、民主自由主義を根付かさせて来たうえ、 戦後の食べ物が無い都市市民はアメリカの食糧援助で生き延びてきたという歴史を持っています。(内実は脱脂粉乳を始めとする家畜飼料用の備蓄農産物の放出が中心であったらしいが、、助かったことは事実。もしそれが無かったなら数拾万人以上が餓死という悲劇が起きたであろう。)
 講和後も名目的には独立しましたが、軍事的に占領されたままの状況は同じであり、安全保障条約の名前に置き代わっただけである。「昭和ー平成ー令和と至った現在も数十の米軍基地が存在し、駐留している米軍関係者は陸軍・空軍だけで10万人、海軍も横須賀・佐世保他多くの港湾を基地として数万人が駐留(船上勤務)し、対ロシア・対中国のアメリカ軍前線基地として存在する。」 当然、日本国としての軍事力の保持も禁じられ、講和後76年を経た今でも、軍隊と称するものの保持は禁じられ、警察予備隊から自衛隊と名称変更した制度による若干の防衛力を持つだけである。 これで真の独立か? と気づいた大学生の反安保闘争は押さえつけられて何時しか納まり、この状況が最も良いと納得している国民が大半なのです。 当然私もその一人。 米軍は出ていけ!という運動が起きて当然なのに、全くそうした反米運動が無いどころか、お金を払って駐留を支援しているのが実態なのです。 
 米軍基地が集中しているなかで反政府・反米軍基地の立場を主張している沖縄地方政治には全国的な支持が集まりません。 なぜだか判る筈です、アメリカの支配下で発展し、自由も幸福も与えられた(獲得じゃない)のが日本国民なのです。反米を主張する野党勢力も存在しません。いや、護憲派と称する野党はアメリカが押し付けた憲法を改正することに反対しているのです。 ま、言ってみればアメリカの付属国のような立場でしょうか。大半の国民がこのような現状に納得しているわけです。掘り返す必要は無く、見直さないのが正解なのです。 
 
 ユーチューブやその他で、世界に冠たる日本とか、世界一の立派な国だとか自慢する若い世代を否定したくはありませんが、歴史と実際を知りなさいと忠告したい。海外の良いものを取り入れてより良いものに加工する技術は世界一かもしれませんが、オリジナリティでは無い。未だコロナワクチンも輸入に頼っているのです。韓国や中国を物まね大国と馬鹿にしていますが、日本こそがまさにそれに該当するのです。自動車・鉄道車両・土木建築技術・原子力・電子科学工業、スーパーマーケット・コンビニなどの販売業その他すべての物事において西洋の物まねから発展してきて現在に至っているのです。ウォシュレット(シャワートイレ)もフランスのビデが起源だと言うことを知らないらしい。日本が起源のものと言えばLED発光素材ぐらい(-_-)。
 
 寂しい話ですが、日米関係については明確化すると日本の国際的な立ち位置に迷いが出て来ます。
 精神的にも歴史的にも日本は中国文化圏に属する国であり、決して欧米文化圏の国ではありません。 然るにも関わらず、日本に伝わり・育ち・根付いた、文字(漢字)をはじめとした中国由来の法・制度から学問や技術、宗教・精神文化まで中国に学びましたが、仏教と儒学思想は本家の中国では滅んでしまい、古代からの中国精神文化は日本にしか存在しないのが実態です。  思えば孔子の教えとは、中国人の大衆には根付かない学問・思想であり、理想を追求した貴人・知識層のみに理解される考え方だったのでしょう。同じく隋・唐の時代に伝わってきた仏教も日本人の考え方に大きな影響を与えました。 これらは日本においては寺子屋教育などを通じて、一部の富裕層だけではなく、広く一般に浸透した思想・観念ですが、 中国(→朝鮮)→日本と伝わった後に、本家の中国がモンゴルなどの他民族に征服され、現地には残っていないのが実態です。隋・唐などの時代に隆盛した仏教・儒学などの精神文化は現代の共産主義中国には受け入れられず、中国では滅んでしまいました。
 利だけを優先し、礼も信も義も捨ててしまった中・韓は日本人からは評価されないし、そういう国々と連帯することも出来ません。 と、なると、アメリカと中国が対立する時代における日本の立場を明確化するとすれば、アメリカの前線基地としてあるべきか、中国に理解を示す立ち位置に就くべきか、第3者として中立するべきかの選択には自ずと見えてきます。
  台湾も中国とは対立しており、アメリカの軍事援助を受ける意味では日本と似通っています。 台湾には大陸から逃げ出してきた古代中国からの遺民が客家(ハッカ)族として相当数棲みついてもおり、共産党による支配を受けたことが無い台湾の人々とは、古くから伝わってきた中国の精神文化を共有できる可能性もあります。

 日本の経済界も利益の追及だけで中国と関係を深めてきた結果、抜き差しできない関係に陥っており、安価な周辺部品の全ての生産を委託している状態は抜本的に見直す必要があります。 コロナでネジ一本まで中国へ生産を委託していることが、自動車の生産に支障をきたし、電子部品の大半も同じく委託してきた結果、コロナ禍2年目の現在まで部品不足で生産調整をしなくちゃいけないというような事態が続いているのです。繊維製品その他も同じで、100円ショップの物品・ユニクロの商品をはじめとして高級な商品以外は大半が中国製という実態には大きな問題があります。

 一方で、反中国を叫んで戦争への道をたどるのは絶対避けなければいけません。過去の繰り返しになってしまいます。過去の戦争では日本の3-4倍の犠牲者を出した中国はいくら人的な被害を出しても最後に勝てばよいと、歴史に学んだようであり、日本とは8年にもわたる日中戦争を行った間柄でありながら、学んだものが正反対です。
 戦争は何も生みだしません。日本は過去の歴史に学び賢い道をたどりたいものです。

                                      以上

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