終戦記念日によせて 📽

 毎年8月15日が近付くと戦争の思い出が語られます。
原爆の被害を第一とし、特攻隊のことや南方戦線での玉砕、シベリヤ抑留などが悲劇として語られ、戦争反対の気持ちと平和憲法の維持が支持されているようです。
 終戦は確かに無条件降伏という全面的な敗北ではありましたが、ある意味では軍事独裁と言う体制から国民の解放でもあり、自由と民主主義の始まりでした。戦争が終わって良かったという事であり、言い換えれば負けて良かったという事になります。
 当時小1の子供だった筆者には世相の移り変わりはあまり判っていなかったと思いますが、食べ物がないという暮らしもすべての国民が同じでしたから特に貧しいという気持ちも感じません。
 自由の国アメリカは素晴らしい夢の国であり、憎むべき敵国と言う感情は全くありません。皆が車に乗っている生活などということは日本ではありえなかったことですから。
 進駐軍の放出物資として闇市場に出ていた野戦食(カートン入りKレーション)などは素晴らしい御馳走でした。
 まるでレベルの違う相手と戦争したことになり、誰の目にもそのことが理解できたはずです。彼らは日本中に占領軍としてキャンプを置き、GHQという占領軍総司令部をおいて日本を統治しましたが、そのことに反発する日本人は居なかったと言っても良いでしょう。ある意味では解放軍でもあったと思われます。これからは日本は民主主義で自由な国になるんだと。
 だから原爆の被害や無差別爆撃で大量の市民が虐殺された歴史を恨むという気持ちが生まれてこず、これらの歴史を悲劇として語り、繰り返さないという誓い(すなわち不戦の誓い)に置き換えているわけです。日本が始めた戦争であり悪者として罰せられたことを理解していた筈でした。

 200万人の兵士、100万の民間人が犠牲になったと言われます。ソ連は50万の日本人をシベリヤ開発のための強制労働者として抑留しましたが、すべて日本が悪者であったとして加害者を告発するのではなく、悲劇として悲しみつつ我慢してきたのです。戦後の占領軍統治時代に彼らに対する反乱や反米活動は全くというほど起きなかったのです。
 片や、中国や台湾・朝鮮・仏印・インドネシアからも敗戦と同時に武装解除して引き揚げが始まり、大量の兵隊が引き上げてきました。勿論国内の軍基地からも武装解除された兵士が復員しました。

 彼らの労働力が基本的な力となって戦後の復興が始まり現在の近代日本になってきたわけです。
 アメリカだけが相手ではなくて、広大な中国大陸の半分を戦場として軍靴で踏み荒らしたことも反省しなければなりません。中国は日本との戦争で700万人ともいわれる被害を出しているのです。
 ところが彼らが訴える戦争に関する歴史認識に対して日本人は理解を示しません。中国も連合国の一員として日本に対する戦勝国なのですが、日本人のこころには大東亜戦争はアメリカとの戦争であり、アメリカに徹底的に負かされてしまったという思い込みしかないようです。


 アメリカが日本を攻撃した時の被害者数以上を中国侵略で日本軍が中国に与えたことにもなるのですが、アメリカも中国も同じく対日戦の勝者の立場にいるのです。 敗者として勝者の言い分を聞くのは当然としてアメリカに従ってきた日本が、中国に対してはまるで違う態度で接しているのではないでしょうか。
戦後の飢餓時代をアメリカの余剰農産物(家畜の飼料中心)やキューバ糖提供などで助けてもらった歴史や、アメリカ向けの生活雑貨の輸出受け入れなどで、産業の育成などが行われて、戦後復興が進み、さらに朝鮮動乱やベトナム戦争などで米軍需要が膨大な量となり、日本の産業復活に大きな力となりました。 こうした対米貿易によって今日の産業立国の礎石となったことなどから対米一辺倒の政治・経済が行われてきたなか、映画や音楽などのアメリカ文化の流入で、国民感情も同じようにアメリカに好感情を持っていると思われます。
 一方、当時の共産主義国家のソビエトと中国が世界各国で革命起こそうとして共産主義の輸出を行い世界各国で反乱や地域紛争が興り、中国において蒋介石の中華民国がアメリカの支援を受けながらも、毛沢東の共産党軍に破れて台湾へ逃げ込む動乱がおこり、続いて朝鮮動乱・ベトナム戦争などが共産主義者との戦争ということになり、いわゆる反共連合の一員に組み込まれた日本はロシヤと中国を仮想敵国として自衛隊を創設するまでになります。中国という呼称も田中角栄総理の訪中による国交回復後に使うようになり、それまでは新聞報道なども中共と呼んで敵視してきた歴史があります。その後の長い間冷戦と言われた時代へと繋がってゆくことにもなりました。
 こうした中から現在の対中感も生まれ、歴史問題として日中間の国交問題として大きくのしかかっています。もう一つの朝鮮問題については、台湾と朝鮮の地では戦争をしたわけではなく、中国(清国)との戦争やロシヤとの勢力争いの結果として領有してきたとも言えます。(なぜか台湾と朝鮮ではあまりにも対日感情が違いますが。。) 朝鮮は独立国としての軍備もなく、時代錯誤の後進国として中国やロシアの言うままになる国として存在しており、日本防衛のためにもロシアの進出は食い止めたいと考えた日本が併合してしまった歴史を持ちます。

 韓国の教育のせいなのでしょう、中国やロシアの干渉は忘れて、日本に侵略されたことだけを声高に反撃しつつ反省しろと叫んでいるようにも見えます。
 朝鮮の地は日本の侵略戦争があったわけもなく、条約による合併でしたから、中国との間に起きたような戦争は無かったのです。

 その意味でも中国が反日を叫ぶことには、多少の理解を示しつつ、韓国のそれには大きな反発を感じる日本人が多いと思われます。
 古代から日本の征韓戦争は何度もおこなわれ(一度も成功しておりませんが)、争い続けてきた隣国であり、友好的に付き合ってきたという歴史は存在しません。彼らから見れば朝鮮は中国に繋がった文明国として日本よりも上の位置にいるという感覚なのでしょう、小中華思想などという考え方もあったようですが、日本を野蛮な国として蔑視してきたのでしょうね。
 逆に日本からみれば中国の属国で、独立した国じゃないという見方もある(^^♪。

 
 中韓が歴史認識として取り上げる問題に靖国神社があります。
 国家を守る防衛戦争で亡くなった英霊というのなら良く判りますが、中国から見ると侵略してきた日本兵を打ち殺した者こそ英雄であり、殺された日本兵が英霊として祭られることには大きな異論があるでしょう。 
 戦犯で死刑になった人が合祀されているというのも大きな問題の一つです。

国軍の兵士だけではなく、戦没者全体を祭る神社であるべきです。他国を侵略し、その戦地で亡くなった軍人を、英霊として祭る考え方はアメリカも反対する考え方です。国を守る為の防衛戦争ではなかったのです。
 天皇陛下が参拝をやめたのもそれが戦犯合祀が原因と言われています。
 また、戦争裁判については、だれが裁いたうえで戦犯としたのか?
連合軍が勝者の立場で軍事裁判を行い、死刑を宣告したのです。日本人が自ら彼らを戦犯として裁いたわけではない。いうならば全日本国民が戦争を煽り加担していたわけですから彼らのみに戦犯としての責任を負わせるわけにはいかないという事でしょう。
ドイツが戦後にナチをあぶりだして告発したこととは大きな違いがあります。
ドイツも同じようにヒトラーを選挙で選んで独裁者として作り出したのは国民だったはずですが、国民全体の恥として明確化し、繰り返さないことを誓っています。

逆に日本では過去を美化し、臭いものには蓋をし、過去の過ちを明確化することを行っていません。
 うやむやのままが良いという日本流の解釈がアメリカも含めて理解されにくいところです。
 最近「はだしのゲン」というマンガ本に戦時中に日本軍が行ったとされる残虐行為があからさまに描かれていることに対し批判が出ていますが、戦争時に兵士がとる行動は中国人でもロシア人でも日本人でも、さらに言えばあアメリカ人でも同じ。敵を殺さなければ自分が殺されるというなかでは、平時における精神構造では過ごされないものがあるのは同じことです。日本人だけはそうした中でも残虐行為はしなかったはずというのはただの空想。手を挙げて降伏した者、民家へ逃げ込んで隠れようとした中国兵を探し出して、すべて(20万~30万と言うのは中国式の過大表示で、実際には3万人程度ともいわれる)惨殺してしまったのが南京事件です。 捕虜として収容しなかったのです。

原因は捕虜に食べさせる食料が無かったのが原因(( ≧Д≦ )

 問題は戦争を起こした責任についての認識です。やむに已まれぬ国際圧力のなかで起こった戦争として自らの責任を明らかにしていない日本の教育方針と歴史教育にあると思われます。

 かっての日本は中国侵略が嵩じて、撤兵の圧力が国連やアメリカからあったのですが、妥協の道を探るよりも、国連を脱退してドイツのヒトラーと軍事同盟を結んで英米に戦争を吹っ掛けるという愚かな道を進んだのでした。
 原爆を落とされて徹底的に叩かれるまでになるまで、負け続けて無条件降伏を受け入れたことになるのです。

 奇襲攻撃による初戦の大勝利に酔いしれ、国を挙げて戦争を応援した国民の責任も大きいのです。

 この時、中国から兵を引いて、講和していたら、今頃は日本はどうなっていただろうか?  今となっては詮無い事ですが

 こうした戦争の歴史は詳しく学校教育でおしえて、今後の教訓としなくてはなりませんが、過去を美化したものにしたいのはどこの国でも同じかもしれません。逆に徹底した反日教育で愛国心を育てようという中・韓にっては格好の宣伝材料にされてしまいます。
 戦後生まれの人々が政治家として日本を動かす立場になってきていますが、彼らには戦争の歴史について正しい認識が欠けているようです。
 私たちの年代が終戦時に「負けて良かった、これで国の戦争事業から解放された。」 また「戦争を起こした犯罪者として日本人全体が罰を受けた。」と納得していたことなどをを知らない世代が総理大臣となって近隣諸国との摩擦を解消出来ないでいることに不安を覚えます。

 過去を美しいものにしようとしたいのはどこの国でも同じだとおもわれますが、韓国の歴史認識がめちゃくちゃであることはよく知られています。日本も似たようなものです。忠臣蔵などのような恨みによる集団暴力事件がとてつもない日本一の美談として語られてきているのですから。
 こうした中で政治の右傾化、それに納得している国民が増えてきていることが恐ろしい。


 朝鮮半島で戦争が起こり、日本も巻き込まれる形で参戦、当然日本が勝つ。中国へ逃げ込んだ朝鮮軍を追撃して、日中戦争と発展、当然日本が優勢で中国へ攻め込む。 アメリカの仲裁があるにもかかわらず、日本が手を引かない。
↑ この図式は75年ほど前に起きた大東亜戦争と同じ歩みを繰り返すことになる。
 この意味では歴史を直視していないと日本を批判する韓国・中国の言い分が正しく見えてしまいます。


 ネット右翼(ネトウヨ)といわれる若者が増えていることと併せ、正しい歴史教育が大事であると感じます。靖国問題も正しい方向へ決着させる努力が必要です。
 竹島・尖閣、北方領土問題などについても日本の指導者の認識が語られずに、国益だけの論が幅を利かせています。戦争に負けた方が戦争の結果として線引きされた国境線を変えることは難しいし(竹島・北方領土)アメリカが線引きした戦後の海域境界を現在の中国が認めないという(尖閣問題)などについては国を主導する政治家の外交努力が大切です。軍事力で決着をつけようとする考え方は国際的にも許されないとは思いますが、日本を支持する国際勢力が沢山いるとも思えず(-_-#)。
 戦争に対する日本独自の歴史観も世界的に反発を受け、まさに国際的に孤立している様子。

                平成25年8月15日

12月26日追記
バンコク旅行から帰国して数日後に安倍首相の靖国参拝が大きな国際問題となっています。
アメリカまでが遺憾の意を表している様子。小泉さんと併せて安倍さんも我儘な人で他人の心を慮る配慮が足りません。
一握りの戦犯となった人の問題ではなく、東南アジアや中国を侵略して軍靴で踏み荒らした日本の軍人全体が鬼として憎まれていることを知らねばならないのです。中国や韓国から見れば、戦争で死んだ日本兵は祭り上げられる存在ではないのです。
ある意味ではアメリカにとっても同じでしょう。ゼロ戦に爆弾を積んで自爆攻撃してきた日本兵は敵であり、それで死んだ兵が国のために身をささげた英霊だとして祭り上げられることに同意するはずがありません。
これが国際感覚です。国内での慣習や宗教的な考え方とは違いがあっても当然ですが、国際感覚を無視した政治は通じません。

亡くなった軍人を英霊として祭る精神は今後国内を間違った方向に向かわせる元にもなります。
無駄な死を強制させた戦争の歴史を繰り返さないためには、靖国の存在は良くないものだと考えられます。 軍国主義の象徴 であったことを忘れてしまっているようです。
中韓は嫌いですが、安倍さんの考え方は大きく間違っているように感じられます。

                            マンダム